【科学】地震発生予測 検証実験 「当たるモデル」条件探る(産経新聞)

 ■降水確率並み「予報」目標

 いつ、どこで、どんな規模の地震が起きるのか−。地震発生予測の精度向上を目指して、東京大学地震研究所は、国内外から公募した予測モデルの精度を比較する「検証実験」を実施している。“地震予測コンテスト”ともいえる検証実験を通して、「当たるモデル」の条件を科学的に探る試みだ。将来的には天気予報の降水確率のような、信頼性と分かりやすさを備えた「地震予報」に近づけたいという。(中本哲也)

 検証実験を始めたのは昨年11月。関東地方、日本列島(陸域)、周辺海域を含めた日本全域の3つの地域を対象とし、関東地方は約5キロ四方、日本列島と全域は約10キロ四方に区分し、地震発生数などを予測する。関東と日本全域は深さ100キロまで、全国の陸域で起こる地震は深さ30キロまでを予測範囲にした。

 大きな特徴は、予測期間が短く、被害の心配がない中規模の地震も対象としていること。マグニチュード(M)4以上の地震を対象とする1日、3カ月予測と、M5以上の地震の発生確率を予測する1年、3年予測の4コースを設定した。

 地震発生予測としては、政府の地震調査委員会が2005年から公表している「全国を概観した地震動予測地図」がある。阪神大震災を教訓に、全国の主な活断層や海溝型地震について長期評価を行い、30年以内の発生確率や地域ごとの大きな揺れに見舞われる確率を示している。

 しかし、活動間隔が数千年以上の活断層の場合、30年以内の発生確率は最大でも十数%にとどまり、「切迫度の実感がわかない」といった難点がある。また、新潟県中越や岩手・宮城内陸地震など、未知の断層や想定外の地域での大きな地震も相次いだ。

 一方、前兆現象の観測を前提とする「直前予知」が可能とされるのは東海地震に限られ、本当に前兆現象が起こるのかどうかも、「地震が起こってみなければわからない」というのが現状だ。

 東大地震研の平田直所長は「地震が起こるたびに『当たり』『外れ』を指摘するだけでは、次につながらない。大規模地震だけを対象とする予測や予知は、現実的な検証はできないという問題点がある。M4以上の地震だと1年に1000個ぐらい発生するので、短期間でも検証可能なデータが得られる」と、検証実験の意義を説明する。

 異なるモデルを客観的に評価するために、使用するデータは気象庁の地震カタログに統一。ルールや検証方法の骨格は、2006年からカリフォルニア地域限定で評価実験を始めている米国のプロジェクトに倣った。

 国内外の研究者に公募し、合計89件の予測プログラムが寄せられた。基本的な予測手法は、過去の地震データから「地震が起きやすい場所」を統計的に割り出すもので、研究者の着眼点によって、個性が出るという。最初の検証結果が得られるのは、5月ごろだ。

 将来的な目標は、天気予報のように分かりやすく、防災にも結びつく「地震予報」の実現だが、平田所長は「検証実験がすぐに地震予報につながるわけではない」ともいう。M5クラスの中規模地震と、M7〜8級の大規模地震では、そもそも起こり方が違うと考える研究者もいる。

 「中規模地震での優秀な予測モデルが、大地震に適用できるとは限らない。しかし、信頼性の高い予測システムを構築するには、モデルの検証は絶対に必要。私たちはそのための“リング”を作ったのです」と平田所長は話している。

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